2012年3月29日木曜日

関税・消費税立替問題その1

今回は古くて新しい話題でもある通関業者の関税及び消費税立替の問題についてです。

過去から現在に至るまで、通関業者を悩ませている大きな問題の一つがこの立替金の問題です。
輸入の許可を受けて外国貨物を引き取るには、輸入者は必要とする関税・消費税を納付するか担保を積む必要があります。近年特例輸入者による貨物の引取りと納税を分離して行える、特例輸入制度もありますが、今回の主題から外れるのでひとまずおいておきます。

基礎知識として関税・消費税の支払い方法について簡単に整理してみます。

2012年現在輸入時の関税・消費税支払い(担保)方法には下記の様なものがあります。

1.銀行、税関収納窓口への証券(小切手、国際の利札、郵便定額為替など)の提出
2.NACCS専用口座による引き落とし
3.延納(個別、包括、特例)、許可前引き取り承認制度(BP=Befor Permit)などによる担保の提供
4.MPN(マルチペイメントネットワーク)
5.リアルタイム口座振替形式(ダイレクト形式)

1については輸入申告時に関税・消費税が確定すると、関税額・消費税額が記載された納付書を発行することができるので、この納付書と共に記載された金額を銀行へ収めるか、税関収納課に証券を添えて提出することで納税することができます。
個人輸入などではほぼこの方法での納税になります。申告の度に銀行、税関を行き来することになるので、通関業者においては緊急の場合を除いてほとんど利用されておりません。また税関収納課への直接の納税は、海貨においては私の知る限りかなり嫌がられます。

2の専用口座については、輸入者が事前に銀行に開設したNACCS専用の引落し口座から関税・消費税を納付する方法です。輸入申告の際NACCSに専用口座の番号を入力することで、輸入申告→審査終了後即時許可になります。
デメリットとしては、開設した銀行によって利用時間に制限がある(最大21時まで)、前日までの振り込みしか口座残高に反映されないなどがあります。

3の延納については、ある程度の資本がある会社は導入している方法です。ここでは包括延納方式について説明しますが、事前に担保を積むことで許可の日から3カ月後の末日まで関税・消費税の納付を延長することができます。使用方法は2の専用口座と同様にNACCSに必要事項を入力することで使用できます。
デメリットは担保を積む必要があること、担保額の上限を1円でも超えると使用できない(この場合納期限を延長している関税・消費税を納付することで使用できるようになります)などがあります。

4.MPNは比較的新しい納税方法で、輸入申告後に確定した関税・消費税の税額を通関業者が輸入者に連絡し、輸入者が必要金額をインターネットやATMなどで納付することで納税する方法です。
デメリットとしては、輸入者は通関業者などから納税に必要な金額の連絡を受け、自らインターネットなどを通して納付する必要があり、輸入件数が多いとそれだけ煩雑になります。

5.リアルタイム口座振替形式(ダイレクト形式)は一番新しい納税方法で、事前にNACCSと銀行で口座振替契約をすることで、一般の口座からその都度関税・消費税の引落が行われます。4のMPNと比べ、残高があれば自動的に納付されるので手間を省くことができ、2の専用口座に比べても、口座に必要な残高が残ってない場合でも振り込みを行うと、通常の口座なのですぐに残高に反映されます。
今のところ一番使いやすい方法です。


以上が基礎知識で、ここからが本題になります。

少し長くなったので次回へ。

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