2012年5月3日木曜日

通関非違について

通関業者と通関士の実力を測る指標として、「通関非違発生率」というものがあります。

通関非違とは、輸出入の申告時に税番や数量の誤りや、タイプミスなどにより発生する通関業者及び荷主より受け取った書類の等の間違いが原因で発生する誤りのことで、毎月税関により集計され、後日「非違発生件数/率」として配布されます。

管轄税関によって非違発生率の伝え方は多少違うようですが、官署内の全ての通関業者の申告件数と非違の発生件数を計算することで、全体の非違発生率の平均を下回る通関業者は特に問題は無いのですが、非違の発生件数が継続的に平均を上回る通関業者には、税関より改善などの指導が入ることもあります。

この通関非違は区分2(書類審査)、区分3(開品などの貨物検査)に対し発生するのですが、本年度の実績評価の実施計画(関税局・税関関連)に気になることが記載されていたので紹介したいと思います。

http://www.customs.go.jp/seisakuhyouka/H24keikaku/file/5-3.pdf

リンクの2枚目になるのですが、

「審査・検査における非違発見件数」を設定し適正な申告を確保するための取組み状況を測定します。24年度の目標値は、過去5年の非違発見件数の平均件数より増加させることとします。

と書かれており、つまり申告時の書類審査、貨物検査を重点的に行うことで、非違の発見件数を過去5年の平均件数との比較で増加させるとあるのですが、通関業者が努力して減らそうと日々努力していても、このような取り組みを行うということは、重箱の隅をつついたような非違で件数を増やそうとするのが目に見えています。

通関業者は書類の作成、入力、チェックと2人以上が同じ書類に目を通すことで間違いを減らすようにしている業者が多いと思います。しかし、書類によってはインボイスのページが20ページ以上、項目が数百アイテムにのぼるものもあり、このようなものは作成した内容を全てチェックすることは不可能です。
これは税関も同じで、輸出入ともに通関業者は本船のスケジュールに合わせほぼ同じ日時に申告を行っていますが、この申告のタイミングが重なることで税関でも審査書類が溢れ、全てに目を通し適性に申告がなされているかをチェックすることは現状時間的にも人員的にも不可能です。

そうなるとどのように限られた時間内に許可を得ているのかと言うと、詳しくは書けませんが、これは締め切りに合わせて通関士と審査担当の税関職員との阿吽の呼吸で行われているのが現状です。

しかし、今回このような指針が出たことで、平均値より非違発見率が低い税関職員、通関部門はなんらかの指導がなされるのではないか、非違の発生件数を上げる為、今までより書類審査に時間がかかるようになるのではないか、貨物の検査時に細かい数量まで念入りに見るようになるのではないかと考えられます。

通関非違はタイプミスのような軽易なものでも、税番間違いのような重大なものでも等しく1点として計上されます。
上記のような取組を行うのであれば、保税のように非違の内容別に点数を設けて、通関業者と通関士にとってより改善点がはっきりと分かるような基準を明確にしてもらいたいと思うのですが、実際問題どう運用されるか今年度は注目していきたいです。

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