2012年4月23日月曜日

税関と通関士

今回は通関士として働く上で毎日のようにやり取りする事になる税関について、身近な所で紹介したいと思います。

通関士の日常業務は、主に荷主より委託された貨物の輸出入の申告ですが、その申告が正しく行われているかどうかをチェックするのが税関の重要な役割の一つです。

輸出については、貿易統計の材料となる統計品目番号や数量、金額が正しいか、輸出貿易管理令や他法令に関わる貨物かどうかの確認を行い、輸入については言わずと知れた適正な関税、消費税の徴収や、EPA、暫定8条等減免税の審査を通関業者から提出された書類を元に行っています。


NACCSを用いて輸出入申告を行い、

区分1=即時許可
区分2=書類審査
区分3=貨物検査

の区分が出ると、区分1の即時許可以外は税関窓口に書類を提出し、税関職員に申告内容が誤っていないか確認を受け、特に申告内容に問題がなければ許可になります。
この書類審査や貨物の開品検査を行うのが我々通関業者が一般的にラインと呼んでいる税関職員です。ほぼ毎日のように書類の内容について質問に答えたり、ちょっとした間違いを訂正する際にお世話になっています。

またラインでは解決できない込み入った問題を相談する統括部門、X線検査時の検査部、コンテナヤードに搬入したコンテナ貨物や、保税区内に蔵置された貨物についてなんらかの理由で動かしたり、中を見たり、サンプルを持ち出す際に調整を行うには保税部や監視部と、新商品などで実績が無く税番がはっきりとしない場合は関税監査官、EPAや特恵税率適用の為の原産地証明書や原産地基準の確認を行う原産地調査官、最近ではAEO専門の部署も整備され、時と場合によって話をする部や担当官が違います(上記の部門は港によって多少違います)。

また例年税関では7月に人事異動があり、どの職員も2~3年周期で他部署へ異動する為、例年この時期前後で審査の傾向が変わるのも悩ましいところです。
税関職員も通関士も法の下に荷主より委託された貨物、書類を審査しているのですが、法に明確に記載されていない事項や細部については、その税関職員の匙加減というのが実情です。
また通関業者は税番についても同じ品物でも港や申告官署によって違う税番を用いたり、その申告官署の傾向に合わせ税番の使い分けをしています。

と言うのも、申告書類の間違いを税関に指摘され訂正を行うと"非違・誤謬"としてカウントされ、件数によっては税関より改善命令を出される為、どの通関業者も1件でも訂正の件数を減らそうと日々努力しています。

通関士の専門性とは何か?との問いに対し、対税関との折衝という答えはどの本にも書かれていませんが、私はこの折衝能力は優秀な通関士の条件だと思います。

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