2012年4月15日日曜日

通関士の毎日

通関士の毎日の仕事は、どこも大体そうだと思うのですが、未経験の方が想像しているようなものに比べとても地味なものです。
シャーペン片手に物差しを書類にあてて、税番毎に区切り、数量や金額を計算し、NACCSへ入力、入力内容を確認して輸出入の申告を行う、毎日がほぼこの作業の繰り返しです。
会話する相手は税関のラインと呼ばれる部門の担当者か社内の営業で、お客さんと話す事もあまりありません。また、人の少ない通関業者では、通関士がコンテナドレージの手配や、D/Oの差し入れをする事もあります。

こう書いてみるといかにもつまらなそうな仕事に見えるのですが、この仕事の魅力は何と言ってもその奥深さにあると思います。一度書類を手にすると少なくとも申告書の作成までは自分一人でしなければなりません。そしてその申告書作成のスピード、正確さが明確に自分自身の能力を反映し、他の通関士との比較材料にもなります。
しかし、ただ早いだけでもいけません。関税法や通関業法、輸出貿易管理令、食品衛生法、高圧ガス法...etc、輸出入を円滑に行うには、膨大なあらゆる法知識が必要であり、また統計品目番号の決定には、細心の注意を払い決定することが必要とされます。


また法律は毎年のように大小改正される為、常に最新の法知識を頭に入れておかなければいけません。2国間のEPAが発行になるたびに、原産地規則は?、デミニマスルールの適用は?など他国との細かなルールの違いを知らなければ、いざという時大変な失敗をしてしまいます。


知識と経験とスピードと正確性、個の力は間違いなく大事なものですが、良い仕事をしていくには個の集合体のチームの力が絶対不可欠となります。一人で分からないことも皆で考える中で答えを導くことができますし、例え答えが分からなくてもなんらかのヒントを得ることはできます。

通関士は毎日の繰り返しの仕事の中で、ちょっとした発見を積み重ね経験を積んでいきます。
こうした平凡な積み重ねと繰り返しの仕事が明日の糧となる、皆が皆そう思うとは限りませんが、少なくとも私はそういう風に日々仕事に取り組んでいます。


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